丘の上のバカ

丘の上のバカ ぼくらの民主主義なんだぜ2 (朝日新書)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2016/11/11メディア: 新書この商品を含むブログ (5件) を見るメディアで見た文章で源一郎さんについて書かれたものは、これまで殆どが悪口や非難、…

忘れられたガザ

ガザの空の下――それでも明日は来るし人は生きる作者: 藤原亮司出版社/メーカー: dZERO(インプレス)発売日: 2016/04/29メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見る本書を読んでいて二度ほどこみ上げてくるものがあったが、それについ…

まだ我々には青柳いづみこさんがいる

ピアニストたちの祝祭 - 唯一無二の時間を求めて作者: 青柳いづみこ出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/05/23メディア: 単行本この商品を含むブログを見る著者は優れたピアニストでもある物書きであり、この人にピアニストを語らせると誰も太刀打ち…

物理学って楽しいよな、そうでしょう?

趣味で量子力学作者: 広江克彦出版社/メーカー: 理工図書発売日: 2015/12/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見るおお、ついに出たかという感じ。ちゃんと近所の本屋に置いてあってとっても嬉しかった。これで EMAN さんの「趣味」本も三冊目…

「微分」「積分」という語の出てこない(!)微積分の本

微積分入門 (ちくま学芸文庫)作者: W.W.ソーヤー,Walter Warwick Sawyer,小松勇作出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/10/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見るこれはユニークな本だ。微積分を教える本なのに、lim すら出てこない。という…

僕の好きなシジン

雨過ぎて雲破れるところ作者: 佐々木幹郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2007/08/24メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る最近読んでもっとも魅力的だった本。なんと云うか、佐々木さん(本書では「シジン」と呼ばれている…

意見を決めるということ

世論調査とは何だろうか (岩波新書)作者: 岩本裕出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/05/21メディア: 新書この商品を含むブログ (10件) を見る今アルコールが入っているので面倒なことが書けないが、一応書いておきます。著者は専門の学者というわけでは…

『ぼくらの民主主義なんだぜ』確かに!

ぼくらの民主主義なんだぜ (朝日新書)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2015/05/13メディア: 新書この商品を含むブログ (98件) を見る朝日新聞論壇時評の新書化。最近は新聞に目を通す時間がめっきり減ったが、源一郎さんの論壇時評は…

正確な「原子・原子核・原子力」の理解のために

原子・原子核・原子力――わたしが講義で伝えたかったこと作者: 山本義隆出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/03/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (9件) を見るこれは万人の必読書なのではないか。本書は力学の概観という、とても…

本書の世界は本当に「ディストピア」なのか?

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)作者: オルダスハクスリー,Aldous Huxley,黒原敏行出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/06/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (23件) を見る旧訳をかつて読んでいるが、中身をほとんど忘れていたので楽しめた。こ…

まさしくも「AIの衝撃」!

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)作者: 小林雅一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/03/20メディア: Kindle版この商品を含むブログ (12件) を見るこれはじつに刺激的だった。一気に読み切ってしまった。AIとは「人工知能」のことであるが…

ハリヨと自然保護

トゲウオのいる川―淡水の生態系を守る (中公新書)作者: 森誠一出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1997/06メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログを見る何の予備知識もなしに読んだが、敢て名著だと云っていいだろう。著者はトゲウオ類の研究者…

『存在の耐えられない軽さ』以上のミラン・クンデラの傑作

冗談 (岩波文庫)作者: ミラン・クンデラ,西永良成出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/12/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る西永良成訳。まず書いておくと、最近ではこれほど貪るように読み、途中の中断すら惜しいほど惹き込まれた本は…

(陳腐な表現だが)笙野頼子は過激だ!

だいにっほん、ろりりべしんでけ録作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/04/26メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 15回この商品を含むブログ (14件) を見る三部作完結。本書を読んでいて、結局自分は「おんたこ」も「ドイデ」(マルクスの『…

比較憲法学から見た日本国憲法

比較のなかの改憲論――日本国憲法の位置 (岩波新書)作者: 辻村みよ子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/01/22メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見るこのところ表だって政治や経済のことを話題にしようという気はどんどん薄れているのであるが…

平和構築には事実を知れ

日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門 (朝日新書)作者: 伊勢崎賢治出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/10/10メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見るキャッチーな題なのが残念である。著者の伊勢崎賢治さんのことを知っ…

ロボット研究はここまできているのか

記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門 (講談社選書メチエ)作者: 谷口忠大出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/06/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (10件) を見る「ロボットは心を持てるか」というよくある命題から始まるが、…

エピジェネティクスと獲得形質の遺伝

エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書)作者: 仲野徹出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/05/21メディア: 新書この商品を含むブログ (12件) を見るアマゾンのレビューで、本書をかなり否定的に評したものが多かったので、そこらあたりも注…

山本義隆三部作の完成を言祝ぐ

世界の見方の転換 3 ―― 世界の一元化と天文学の改革作者: 山本義隆出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/03/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見るようやく全巻を読み終えた。これで、『磁力と重力の発見』『一六世紀文化革命』に続いて…

大江健三郎と「想像力」

新しい人よ眼ざめよ (講談社文庫)作者: 大江健三郎,鶴見俊輔出版社/メーカー: 講談社発売日: 1986/06/09メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (32件) を見る世には色々な大江論があるだろうが(自分はまったく読んでいないけれど)、…

維新史を書き換える画期的な歴史書

江戸幕府崩壊 孝明天皇と「一会桑」 (講談社学術文庫)作者: 家近良樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/02/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る元本は、文春新書の『孝明天皇と「一会桑」』。何の気なしに読み始めたのだが、そうしたら驚…

維新と会津人

ある明治人の記録―会津人柴五郎の遺書 (中公新書 (252))作者: 石光真人出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 1971/05/25メディア: 新書購入: 4人 クリック: 37回この商品を含むブログ (28件) を見る副題「会津人柴五郎の遺書」。柴五郎は幕末の会津の武士の…

小林秀雄との対話

学生との対話作者: 小林秀雄,国民文化研究会,新潮社出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/03/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見るまだ読み終えていないが、全部読んでも感想はあまり変わらないと思うので、ちょっと書いておく。小林秀雄の…

西欧型知識人・アーレント

イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告作者: ハンナ・アーレント,大久保和郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1969/09/21メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 111回この商品を含むブログ (89件) を見る本書は曖昧に書かれているのではない…

「カリブ海域史」が必読だとは

コロンブスからカストロまで――カリブ海域史、1492-1969(I) (岩波現代文庫)作者: E.ウィリアムズ,川北稔出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/01/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る白状しておくが、自分は最初本書について、マイナーな地…

橋本治の驚嘆すべき短篇集

蝶のゆくえ (集英社文庫)作者: 橋本治出版社/メーカー: 集英社発売日: 2008/02/20メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (23件) を見る短篇集。本文庫には著者自身の「自作解説」があって、これがとても興味深い内容なのであるが、詳しくは取り…

農業とマーケットの論理

農業が日本を救う作者: 財部誠一出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2008/11/22メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 13回この商品を含むブログ (5件) を見る著者の顔は「報道ステーション」で何度か見かけたことがある。氏のレポートはいつもポジティブで、…

絲山秋子はいつもいつもカッコいい

エスケイプ/アブセント (新潮文庫)作者: 絲山秋子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/12/24メディア: 文庫 クリック: 17回この商品を含むブログ (32件) を見る主人公は左翼の活動家で、年は四〇歳あたりであり、この小説の時間設定はほぼリアルタイムであ…

攻殻機動隊の世界の現実化は、まだむずかしそうだ

脳と機械をつないでみたら――BMIから見えてきた (岩波現代全書)作者: 櫻井芳雄出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/07/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (9件) を見るBMI(Brain-Machine Interface)についての本。例えば、脳に繋…

才人オスカー・ワイルドとヴィクトリア時代の性道徳

オスカー・ワイルド - 「犯罪者」にして芸術家 (中公新書)作者: 宮崎かすみ出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/11/22メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見るいやあ、これは面白かった。傑作評伝というやつですね。オスカー・ワイルドの生…