「微分」「積分」という語の出てこない(!)微積分の本
- 作者: W.W.ソーヤー,Walter Warwick Sawyer,小松勇作
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2015/10/07
- メディア: 文庫
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どうしてこんなことを書いたのかと云えば、じつは本書は、上の「ニュートン的な」考え方で微積分を教えているのである。簡単に云えば、こういうことだ。誰でも「距離」と「速さ」というのは知っているだろう。じつは、「距離」を(時間で)微分したものが、「速さ」なのである。そしてその逆、「速さ」を(時間について)積分すれば、「距離」になる。これがすべてなのだ。ただ、これを納得するのは、なかなか簡単ではない筈である。本書は、それを納得させようという本なのだ。
さて、本書の想定する読者はどんな人か。これはちょっとむずかしい、本書の内容そのものは中学生でも理解可能だと思うが、3次以上の代数は中学ではやらず、高一でやることになるので、高一の数学が必要になってしまう。じつは3次以上の代数と云っても大したことは使われていないので、そこだけ勉強すれば中学生でも読めるだろう。まあ、高校生が楽しく読んで欲しいと思う。本書は「簡単な」説明をしているが、基本的にはこれで充分なのだ。あとは、本格的な数学書を読めばいいと思う。数学から離れてしまった大人も、是非中高生の頃を思い出して、本書で遊んでみて欲しい。