竹内薫さん

竹内薫の『シュレディンガーの哲学する猫』が文庫化されるというので、嬉しい。竹内さんは主に物理の分野のサイエンス・ライターで、いま日本でいちばん活躍されている方だと思うが、竹内さんの本で最初に買ったのが、これだった。確か、大垣のさほど大きくもない本屋で買ったのだと覚えている。随分と前のことだ。
 この本はしかし、物理のそれではなく、広義の哲学についての本である。物理プロパーではなく、出発点できちんと思想を学んで、土台を固めておられるところも信頼できる点だ。実際、物理に関する著書(例えば『世界が変わる現代物理学』など)においても、現代物理学の「コト的な世界」観(ちょっと廣松渉などが思い出される)への接近を指摘するなど、哲学的な思考ができる人なのだ。
 在野の方なので、アカデミズムには何かと苦労させられておられるのがブログなどからも推察されるが、欧米と比べてサイエンス・ライターの少ない日本では、洵に貴重な存在である。密かにエールを送りたい。
 ※http://kaoru.txt-nifty.com/diary/2008/05/post_9836.html
『世界が変わる現代物理学』については
 ※http://d.hatena.ne.jp/takky_ganba/20061227/1167217049
 ※http://d.hatena.ne.jp/rintaromasuda/20060801/1154384319
 ※http://d.hatena.ne.jp/ardbeg1958/20050525/p1
 ※http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20041009