「金刀比羅宮」展にて

小雨の降るなか、三重県立美術館へ「金刀比羅宮 書院の美」展を観に行く。近世は円山応挙と岸岱(がんたい)がメインで、若冲は一点だけ。応挙の虎が猫みたいでかわいい。若冲は独特の構成力があって、さすがにおもしろい。それから、絵をデジタル撮影したのをプリンター印刷したものがかなりあったが、汚れなども再現してあるほどなのにも拘らず、やはり平面的であるように感じられた。これからこういうのが多くなりそうだが、「本物の力」というのはやっぱりあると思う。実際のところ、「情報量」という点から見ても、「本物」とは比べられないのではなかろうか。
 近現代は高橋由一と田窪恭治。由一の、西洋画のリアリズムで(当時の)日本の風物を描くという試みは、却って何かエキゾチックな感じを受けるほどである。鯛や伊勢海老を描いた静物画や、有名な豆腐の絵もあった。
 常設展示にゴヤの版画(「戦争の惨禍」のシリーズなど)が纏めてあったのは拾い物。柳原義達の彫刻もあり。