「片岡球子展」と「アヴァンギャルド・チャイナ」展

名古屋の松坂屋美術館で、「片岡球子展」を観る。独特の個性が出るのは、四十過ぎくらいか。タッチは荒く太く、色彩は奔放で時に原色に近い色を用いる。個性は大変あるのだが、しかし、こう思わず魅き付けられるような感じがない。どうしても一・五流くらいの画家に思えてしまう。有名な「面構」のシリーズも迫力はあり、どいつもこいつもあくどい様子がよく出ているが、何か足りないような。まあしかし、一見の価値はあると思うが。
 昼食までまだ少し時間があったので、栄まで歩いて、愛知県美術館の「アヴァンギャルド・チャイナ」展を観る。(ちょっと入場料が高かった。1200円。)現代の中国アートを紹介しているのだが、モダン・アートはよく知らないけれども、前衛としては新味に欠けるものがほとんど、という印象だ。却って少し古いシュールレアリスム風の、張暁剛(ジャン・シャオガン)のデフォルメされたポートレイトみたいなのが、心に残ったくらい。それにしても観客がおらず、ガランとしていた。収蔵品展における三沢厚彦の「アニマルズ」は、稚拙風だが楽しくて思わず笑ってしまえるもので、これは良かった。