サイエンス・ライターを軽んじるな

自己組織化とは何か 第2版―自分で自分を作り上げる驚異の現象とその応用 (ブルーバックス)

自己組織化とは何か 第2版―自分で自分を作り上げる驚異の現象とその応用 (ブルーバックス)

閉じた系ではエントロピーは必ず増大するが、開いた系では、一時的にエントロピーが減少するような現象が見られることがある。乱雑さから、秩序が現れるようなことが起きる、とも言い換えられる。これが「自己組織化」で、まだ若い学問だが、生命を探求するのに欠かせない考え方になってきている。(哲学に注入された「オートポイエーシス」なども、これとよく似た発想だ。)本書はかなり雑多な内容で、主題との関連が判りにくい章(味覚や嗅覚に関する章など)もある。
 内容とは関係のない話だが、久しぶりにブルーバックスを読んでみたけれども、サイエンス・ライターの竹内薫さんも述べているように、学者の書いた科学書は概してサービス精神に乏しい。はっきり云って、文章も下手である。もっとサイエンス・ライターに書かせるべきだと思うが、日本の科学者は、サイエンス・ライターを軽んじる、いや、馬鹿にするという悪習があるため、優秀なサイエンス・ライターが育たない。日本の「理系離れ」は、そういうところにも大きな原因がある。編集者はそのあたりのことを、どう思っているのだろうか。竹内さんの怒りの発言をリンクしておく。
http://kaoru.txt-nifty.com/diary/2009/05/post-cdb2.html
http://kaoru.txt-nifty.com/diary/2009/04/post-a2a9.html