デヴュー盤から絶賛してきたエデルマンのピアノであるが、今回は勝手が少々違った。曲目はオール・
ショパンで、バラード全曲、
舟歌、幻想曲、
幻想ポロネーズといった構成である。演奏は見事なものであるが、飽きるほど
ショパンを聴いてきた耳には、「
レコード芸術」誌の評にもあったけれども、「予定調和的」で手馴れた感じがしないでもない。
舟歌や幻想曲における(特に強い)音の美しさは、大したものではあるが。けれども、バラード第四番には「これはいい曲だな」と思わせるところがあったり、
幻想ポロネーズの複雑さもよくわかるなど、つまらないばかりではない。たぶん、初めて
ショパンを聴く人などには、いいディスクなのかも知れない。
追記
聴くごとに印象が良くなってきた。バラードは第一番はちょっと弱いが、二、三、四番と舟歌は、実に美しいショパンになっている。これほど音の美しいピアニストは稀だろう。特に、抜け切った強音の美は無類である。(2010/3/27)