ピアニストとしての青柳いづみこ

雅びなる宴 ドビュッシー/クープラン作品集

雅びなる宴 ドビュッシー/クープラン作品集

先日、青柳いづみこの本を読み、これは彼女のピアノも聴いてみなければと思わされたので(id:obelisk1:20100130)、早速CDを買って聴いてみた。クープランドビュッシーの組み合わせである。ドビュッシーの選曲が自分の好きなものばかりなので、後半のドビュッシーから聴くことにする。冒頭の「2つのアラベスク」、輝かしい音色も派手なテクニックもない。どうだろうと思ったのだが、まあピアニストの個性が出るような曲でもないので、次の「ベルガマスク組曲」へ。この曲は大好きなのだが、なんと、実にカッコいい演奏なのだ。なんというか、センスが抜群というのか、ちょうど少女マンガなどで時々おそろしくハイセンスなのがあるが、それを思わせるとでも云うか。間違いなく日本人の演奏でありながら、いわゆる「日本風」でもなく、また西欧でもなく、しっかりと両者のアマルガムになっている。だから、面白くないはずがない。ここでも、日本人のクラシック音楽受容がここまできたかという感に、打たれざるを得なかった。
 テクニックも杞憂だった。だって「喜びの島」がこれだから。ポリーニの演奏は凄かったが、比べても繊細さでは勝っているし。
 最初に戻ってクープランを聴く。これもカッコいい。最初からこちらを聴いていれば、すぐにオッと思っただろう。それにしても、クープランのクラブサン曲は洒落ている。若い女の子など、クラシック音楽を知らなくても、これはいいと思うのではないか。
 しかし、アマゾンの検索では、「青柳いづみこ」と入力してもこのディスクが出てこないのはひどい。十年前の録音で、まだ知名度がなかったのかもしれないが、それにしても。(でも、故・安原顕が「これほど書ける人も、これほど弾ける人も少ない」というようなことを早くから言っていたと記憶するが。)それはともかく、もっと青柳の演奏が聴いてみたくなりました。