坂本龍一の語り下ろし自伝
- 作者: 坂本龍一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/02/26
- メディア: 単行本
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彼の十代のすごし方を読んでいると、その濃密さにほとんど呆れざるを得ない。やはり世界的な人はちがうというのか、まあ時代のせいもあるが、吸収しているものが凄すぎる。音楽もそうだし、人も、思想も文化一般もそうだ。そして東京。比較するのも烏滸がましいが、自分の十代にないものばかりである。結局、帰着するものはいつもと同じだ。自分の貧しさは、これは一体なにか、ということである。自分の貧しさには、いつも驚かされるくらいだ。
この本で光っているのは、だからやはり、YMO以前、坂本の二十代半ば(彼の無名時代)までだ。そこからは、我々のよく知っている坂本だといえるだろう。そうそう、個人的には山下達郎や大滝詠一との出会いも興味深かった。自分のことをいうと、小学生で山下達郎の音楽を知ったのは、これは大きかったかも知れない。そんなことである。