経済問題とロジカル・シンキング
- 作者: 飯田泰之
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 新書
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だから、繰り返すが、これはとてもいい本だと思う。それはそれとして、勝手に空想されてきたことを記しておくと、例えば「真に豊かな生活とは何だろう」というのは、学問的にはまったく曖昧で、経済の命題としてはナンセンス以外の何ものでもないというのは本書のいうとおりだと思うのだが、個人の自分への問いかけとしては、まったく無意味だとはいえない、というのがむずかしいところなのだと思う。そして、ポジティヴに考えれば、そこが経済学のおもしろいところだともいえよう。また、身も蓋もないことを言ってしまえば、著者が経済問題(本書で取り上げられる問題は、基本的にほとんど経済分野のものである)における「ダメな議論」を見抜けるのは、著者が優れた経済学者だということにあるに決っている。しっかりした議論をするのに、易しい道などないのだ。しかし、「王道」はある。本書は、それを指摘しているのだと思う。