青柳いづみこの楽しいエッセー集
- 作者: 青柳いづみこ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/11/07
- メディア: 文庫
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青柳さんはドビュッシー弾きなので、やはりドビュッシーに関する話題は、とりわけ参考になる。ドビュッシーの未完成曲についての話は、音楽家兼文筆家の面目躍如で、これは著者にしかできない類のものだ。オペラ「アッシャー家の崩壊」などは、ポオに音楽をつけて興味津々なのだが、断片的にでも聴けないものなのだろうか。
ピアニストとしてのピアニスト評も面白い。ポリーニとミケランジェリの比較など、我が意を得た。ミケランジェリのラヴェル、早速聴いてみよう。
批評家に対する怨みつらみは恐しい。日本のクラシック音楽の批評家は、本当にひどいことがよくわかるし、納得できる。音楽に限らず、日本の或る種の批評家は(中身もないのに)豪そうにしすぎる。対象を殺すためだけに書いているのでは、と疑いたくなるようなのが多い。
まあそれはともかく、気楽に読めるけれども、音楽家としても文筆家としても、著者の実力を感じさせる一冊だ。もっと青柳さんの著書もCDも、手に入れたくなった。