松浦寿輝詩集
- 作者: 松浦寿輝
- 出版社/メーカー: 思潮社
- 発売日: 1992/04
- メディア: 単行本
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何という瑞々しい日本語か。まるで言葉をすみずみまで分解修理したかのようだ。また、漢字の使い方がおもしろい。ひらがなの中に、たとえば「罅」といったような目立つ漢字が、ぽっと置いてある。全体として、なにかとてもモダンな印象を受ける。著者は仏文学者や評論家、小説家でもあるが、詩人として最もしっくりきているように思える。魅力的なモダニスト詩人といえるだろうか。
なお、『冬の本』も同じようだが、自分はまったく面白いと感じなかった。たぶん、自分と相性が悪いのだろう。凡庸な悪しき現代詩人としか見えない。内容がスカスカで、読むのが苦痛だった。併録された散文もちっとも感心しなかった。グレン・グールド論など、おふらんすもいいところで、一時期こういう恥ずかしい散文がたくさんあったが、その総元締といった感じがした。まあ、著者はえらい人だから、こちらに問題があるのだろうが。