震災と或る一ブログ記事

ブログ「憂愁書架」の最新エントリー「最悪の一歩手前」を繰り返し読む。今回の震災について、これまでこれほどの文章を読んだことがない。深く心動かされた。
 書き手であるsaiki氏は、日本はあと一歩のところで踏みとどまっている、という現状認識をされているようだ。以下は反論などではなく、妄言に過ぎないが、さても、「真の日本のエートス」は、未だ失われていないのか。これは「最悪」ではなく、「最悪の一歩手前」なのか。略奪はおきなかったし、経済大国の名に恥じない、多額の寄付金は集まったし、皆助け合い、またボランティアに行く人々も少なくない。それは承知でダメな自分が恐る恐る思うのだが、日本人は既に「一線を超えて」しまったのではないか、との感を禁じえない。政治のことは言わない。例えば、事ここに至ってすら、これからも原発への依存は已むを得ないと考える日本人が半数存在するという事実には、自分の中で何かが切れてしまったように感じる。マスメディアも殆ど絶望的だ。テレビも新聞も震災商売に余念が無い。(テレビでしゃべっている奴等の顔を見よ。)ツイッターのタイムラインを見ていても、皆まじめなのはわかるが、自分がしゃべらされていることに気づかない、ナイーヴな方々が多すぎるのではなかろうか。
 これほどのことがあったのに、日本は何も変っていない。
 いや、悲観的に過ぎようか。連休ということでやって来ていた甥っ子たちが今日帰っていったが、これからの日本というと、自分にはまず彼らのことが頭に浮かんでくる。彼らの受け継ぐ日本は、いったいどのようなものになるのだろう。非力な自分に何ができるのか、というのは震災前から変らない自問自答であるが、それが一層突きつけられたという思いである。