これは細野晴臣の新境地だろうか?

HoSoNoVa

HoSoNoVa

最近はポピュラー音楽はほとんど聴かないのだが、細野晴臣の新作が出てみると、購入したい気持ちが抑えられなかった。タイトルの「HoSoNoVa」というのは、「ボサノヴァ」であり、「ホソノ場」ということでもある。12曲中5曲がカヴァー曲であり、オリジナルは7曲だが、何の文句があろう。全体的に、スローでアコースティックな雰囲気に満ち満ちている。たぶん、シンセサイザーはほとんど使っていないのではないか。このアルバムは、ラテン音楽に対するオマージュでもあるだろうし、またライナーノートからもわかるように、新たな挑戦でもあるようだ。最近の流行りの音楽も悪くないのだろうが、この大人のための音楽を聴いていると、流行りの音楽のどうしようもない幼稚さに、改めて辟易している自分を発見する。
 それにしても、3曲目の「悲しみのラッキースター」の透明な悲しみは何だろう。聴いていて思わず、あまりの美しさに涙腺がゆるくなってしまったほど。たぶんさらりと書かれた曲なのだと思うが、すばらしいものだ。結局自分は、細野晴臣から抜けられないのだろうなと思う。