コロンブスからカストロまで――カリブ海域史、1492-1969(I) (岩波現代文庫)
- 作者: E.ウィリアムズ,川北稔
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/01/17
- メディア: 文庫
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コロンブスからカストロまで――カリブ海域史、1492-1969(II) (岩波現代文庫)
- 作者: E.ウィリアムズ,川北稔
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/02/15
- メディア: 文庫
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それにしても、厳しい書物である。本巻はカリブ海域の植民地が次々と独立していく過程を描いているが、著者はそれだからといって、その過程と結果を盲目的に賛美しているわけではない。ここでも、被支配者であった者たちの過ちですら、冷静に指摘・分析してある。甘い要素というものがないのだ。
しかし、世界史というものは恐ろしい。自分としては、日本語の中に自閉して眠ってしまいたいという誘惑を感じずにはいないが、やはりそうはすべきではないのだろうな。今の世界を一瞥すれば直ちに出てくる疑問だが、民族問題というものは、一市民がどれほど考えるべきことのなのだろうか。幸いなのかどうか、日本ではまだそうした問題はさほど全面に出てきていないが、そういうことでいいのか。いや、遅かれ早かれ、日本も「世界並み」に問題化してくるだろう。本書は奇跡的に文庫化されたが、恐らくは無視されるだろうけれど、これからの我々の試金石になるのではないか。稀有の書と云いたい。