丘の上のバカ

丘の上のバカ ぼくらの民主主義なんだぜ2 (朝日新書)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2016/11/11メディア: 新書この商品を含むブログ (5件) を見るメディアで見た文章で源一郎さんについて書かれたものは、これまで殆どが悪口や非難、…

まだ我々には青柳いづみこさんがいる

ピアニストたちの祝祭 - 唯一無二の時間を求めて作者: 青柳いづみこ出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/05/23メディア: 単行本この商品を含むブログを見る著者は優れたピアニストでもある物書きであり、この人にピアニストを語らせると誰も太刀打ち…

物理学って楽しいよな、そうでしょう?

趣味で量子力学作者: 広江克彦出版社/メーカー: 理工図書発売日: 2015/12/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見るおお、ついに出たかという感じ。ちゃんと近所の本屋に置いてあってとっても嬉しかった。これで EMAN さんの「趣味」本も三冊目…

僕の好きなシジン

雨過ぎて雲破れるところ作者: 佐々木幹郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2007/08/24メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る最近読んでもっとも魅力的だった本。なんと云うか、佐々木さん(本書では「シジン」と呼ばれている…

『ぼくらの民主主義なんだぜ』確かに!

ぼくらの民主主義なんだぜ (朝日新書)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2015/05/13メディア: 新書この商品を含むブログ (98件) を見る朝日新聞論壇時評の新書化。最近は新聞に目を通す時間がめっきり減ったが、源一郎さんの論壇時評は…

正確な「原子・原子核・原子力」の理解のために

原子・原子核・原子力――わたしが講義で伝えたかったこと作者: 山本義隆出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/03/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (9件) を見るこれは万人の必読書なのではないか。本書は力学の概観という、とても…

本書の世界は本当に「ディストピア」なのか?

すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫)作者: オルダスハクスリー,Aldous Huxley,黒原敏行出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/06/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (23件) を見る旧訳をかつて読んでいるが、中身をほとんど忘れていたので楽しめた。こ…

まさしくも「AIの衝撃」!

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)作者: 小林雅一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/03/20メディア: Kindle版この商品を含むブログ (12件) を見るこれはじつに刺激的だった。一気に読み切ってしまった。AIとは「人工知能」のことであるが…

『存在の耐えられない軽さ』以上のミラン・クンデラの傑作

冗談 (岩波文庫)作者: ミラン・クンデラ,西永良成出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/12/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る西永良成訳。まず書いておくと、最近ではこれほど貪るように読み、途中の中断すら惜しいほど惹き込まれた本は…

(陳腐な表現だが)笙野頼子は過激だ!

だいにっほん、ろりりべしんでけ録作者: 笙野頼子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/04/26メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 15回この商品を含むブログ (14件) を見る三部作完結。本書を読んでいて、結局自分は「おんたこ」も「ドイデ」(マルクスの『…

平和構築には事実を知れ

日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門 (朝日新書)作者: 伊勢崎賢治出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/10/10メディア: 新書この商品を含むブログ (14件) を見るキャッチーな題なのが残念である。著者の伊勢崎賢治さんのことを知っ…

ロボット研究はここまできているのか

記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門 (講談社選書メチエ)作者: 谷口忠大出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/06/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (10件) を見る「ロボットは心を持てるか」というよくある命題から始まるが、…

山本義隆三部作の完成を言祝ぐ

世界の見方の転換 3 ―― 世界の一元化と天文学の改革作者: 山本義隆出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/03/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見るようやく全巻を読み終えた。これで、『磁力と重力の発見』『一六世紀文化革命』に続いて…

大江健三郎と「想像力」

新しい人よ眼ざめよ (講談社文庫)作者: 大江健三郎,鶴見俊輔出版社/メーカー: 講談社発売日: 1986/06/09メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (32件) を見る世には色々な大江論があるだろうが(自分はまったく読んでいないけれど)、…

小林秀雄との対話

学生との対話作者: 小林秀雄,国民文化研究会,新潮社出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/03/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見るまだ読み終えていないが、全部読んでも感想はあまり変わらないと思うので、ちょっと書いておく。小林秀雄の…

「カリブ海域史」が必読だとは

コロンブスからカストロまで――カリブ海域史、1492-1969(I) (岩波現代文庫)作者: E.ウィリアムズ,川北稔出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2014/01/17メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る白状しておくが、自分は最初本書について、マイナーな地…

橋本治の驚嘆すべき短篇集

蝶のゆくえ (集英社文庫)作者: 橋本治出版社/メーカー: 集英社発売日: 2008/02/20メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (23件) を見る短篇集。本文庫には著者自身の「自作解説」があって、これがとても興味深い内容なのであるが、詳しくは取り…

絲山秋子はいつもいつもカッコいい

エスケイプ/アブセント (新潮文庫)作者: 絲山秋子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/12/24メディア: 文庫 クリック: 17回この商品を含むブログ (32件) を見る主人公は左翼の活動家で、年は四〇歳あたりであり、この小説の時間設定はほぼリアルタイムであ…

才人オスカー・ワイルドとヴィクトリア時代の性道徳

オスカー・ワイルド - 「犯罪者」にして芸術家 (中公新書)作者: 宮崎かすみ出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/11/22メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見るいやあ、これは面白かった。傑作評伝というやつですね。オスカー・ワイルドの生…

綿矢りさは正統派の小説家です

かわいそうだね? (文春文庫)作者: 綿矢りさ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/12/04メディア: 文庫この商品を含むブログ (10件) を見る表題作が大傑作で、興奮した。普通の恋愛小説というか、三角関係が崩壊していく普通の小説で、書き方もオーソドック…

日本経済は若者を見殺しにするのか?

若者を見殺しにする日本経済 (ちくま新書)作者: 原田泰出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/11/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る扇情的なタイトルだが、著者の怒りが籠められていると云っていい。ロジックの書である。自分の愚かな意…

渡辺京二による、現在最良の現状分析のひとつ

新書700近代の呪い (平凡社新書)作者: 渡辺京二出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2013/10/15メディア: 新書この商品を含むブログ (16件) を見る名著だと思う。著者は恐るべき実力者だ。年齢というものをまったく感じさせない、大変な内容の濃さである。本書の…

「脱亜論」と「アジア主義」なる対立軸の無意味さ

近代日本とアジア: 明治・思想の実像 (ちくま学芸文庫)作者: 坂野潤治出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/10/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (7件) を見る途轍もない知的膂力によってなされた、驚くべき論考。日本の近現代史に関心のある者が、ま…

クルーグマン教授によるアベノミクス本

そして日本経済が世界の希望になる (PHP新書)作者: ポール・クルーグマン,山形浩生,大野和基出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2013/09/14メディア: 新書この商品を含むブログ (23件) を見る御存知ノーベル経済学賞受賞者クルーグマン教授による、アベノミ…

民主主義は行政府のやることを止められない

来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題 (幻冬舎新書)作者: 國分功一郎出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2013/09/28メディア: 新書この商品を含むブログ (40件) を見る最近これほど読んでいて感銘・感動を覚えた本はない。國分さんは若い…

震災と民衆的想像力

鯰絵――民俗的想像力の世界 (岩波文庫)作者: C.アウエハント,小松和彦,中沢新一,飯島吉晴,古家信平出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/06/15メディア: 文庫この商品を含むブログ (9件) を見るふぅ、大著をやっと読み終えた。「鯰絵」とは、安政の江戸大地…

参議院選直前の、森永卓郎による緊急通告

庶民は知らないアベノリスクの真実 (角川SSC新書)作者: 森永卓郎出版社/メーカー: 角川マガジンズ発売日: 2013/07/10メディア: 新書この商品を含むブログ (3件) を見るどう書こうか迷う。まず、森永さんは長年のリフレ派である。本書でも、このことはまった…

「貧困大国日本」にならないために、アメリカを見る(ことは可能か?)

(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)作者: 堤未果出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/06/28メディア: 新書この商品を含むブログ (47件) を見る三部作完結。前二著に劣らぬ、大変なリポートだ。「1%」に支配されるアメリカの姿には、恐怖を覚えるとしか言い…

國分功一郎のドゥルーズ論は、本当に刺激的だった!

ドゥルーズの哲学原理 (岩波現代全書)作者: 國分功一郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2013/06/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (28件) を見る何とも刺激的で興奮させられる書物! などと云っても、何も言ったことにはならないが…

ヴァレリー最後の詩集

ヴァレリー詩集 コロナ/コロニラ作者: ポール・ヴァレリー,松田浩則,中井久夫出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2010/06/23メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (7件) を見る松田浩則・中井久夫訳。ヴァレリー最後の詩集である。が、その…