綿矢りさは正統派の小説家です
- 作者: 綿矢りさ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/12/04
- メディア: 文庫
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それにしても、著者には才能がある。別ブログの過去の記事で、著者は取り敢えず、等身大の小説を書いた方がいいのではないかなどという感想を記したことがあるが、等身大の小説でここまでのものを書いてしまうとはねえ。大江健三郎賞も当然である。(しかし、大江さんはすごいな。若い才能を的確に捉えている。未だに第一線の小説家である証拠だ。)この後が楽しみだ。
併録された「亜美ちゃんは美人」も、こちらは気楽に読める小説だが、なかなかいい。まあ著者なら、これくらいのものは簡単に書けるのではないか。それくらい才能があると思う。表題作もこれも、エンターテイメントとしても充分薦められるし、それだけには留まらない深さもある。綿矢りさは、正統派の小説家です。