仲正流哲学の応用編

正義と不自由―絶対的正義の限界

正義と不自由―絶対的正義の限界

仲正流哲学の応用編という印象。「現実」と「思想」という二項対立があるとして、仲正昌樹ほど、両者の接続ということに誠実な人も少ないと思う。また、特に理論的な文章でいえば、第三章の「進化する資本主義と『物象化』」の、廣松渉の読解が参考になった。
「廣松は、物象化の核となる『物象』は、『主体』と『主体』の“間”に、間主観的に有るという形で四肢構造を組み立てており、『物象化』が『主体』の意識の『内部』に有るとは見ていない。廣松批判者の中には、『共同主観性』を、“同じ様な主観的幻想を集団が抱いていること”と素朴に理解している人が多いが、これは廣松の『解釈』としては見当外れである。」