比較都市論

都市のコスモロジー―日・米・欧都市比較 (講談社現代新書)

都市のコスモロジー―日・米・欧都市比較 (講談社現代新書)

本書の中に、東京の飯田橋で、水路を暗渠化した上に人工の小さな滝を作ってあるという短いエピソードがあるが、それからふと連想されたことがある。十数年前のことだろうか、岐阜の柳ヶ瀬に、これも暗渠になった水路の上を開いて、奥まった細い路地にちょっと洒落た親水コーナーが作られたのだが、今ではほとんど忘れられ、汚くなって放置されているのだった。裏路地を歩いていっての発見、というような効果を狙ったのであろうし、確かにおもしろい試みだとは思うのだが、いかんせん、柳ヶ瀬そのものが寂れきってしまった現状では、どうしようもない。西柳ヶ瀬の端の人工の「泉」も同様である。地方商店街の活性化というのは、どうしても利害のあまり対立しない、当り障りのないものになってしまう例が多くなる。それがいかに洒落たものでも、活性化には役立たない。こうなっては、本当に活性化など必要なのか、などという根本的なところから敢て考えてみることも、もしかしたら必要なのかも知れない。