トクヴィル

アメリカのデモクラシー〈第2巻(上)〉 (岩波文庫)

アメリカのデモクラシー〈第2巻(上)〉 (岩波文庫)

アメリカのデモクラシー〈第2巻(下)〉 (岩波文庫)

アメリカのデモクラシー〈第2巻(下)〉 (岩波文庫)

骨太な書物で、読むのに疲労困憊…
 トクヴィルは、デモクラシーの帰結については二律背反的な感情を抱いていたようだ。
「魂は躍動に欠けるが、習俗は穏やかで、法律は人間的である。偉大な献身や、気高く輝かしく純粋な美徳はほとんど見られないとしても、習慣は落ち着き、暴力は稀で、残虐行為はほとんど起こらない。人の寿命は長く、繁栄はより確実になる。生活に華美は乏しいが、安定と落ち着きがある。人々は繊細の極みに悦びを覚えることはほとんどないが、俗悪の限りを尽くすのに溺れることもまずなく、上品な作法も野蛮な趣味もほとんどない。学識に秀でた人々にも無知蒙昧の住人にもなかなか出会わない。天才はより少なく、知識はより一般に広がる。人間精神はすべての人々が小さな力を合わせることで進歩し、少数の人々の強力な牽引力で発展するのではない。作品の完成度は低いが、その数は豊かである。人種、階級、祖国、これらすべての絆は弛み、人類という大きな繫がりが引き締まる。」
 まさしくその通りではないか。