クアトロ・ラガッツィ 上 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)
- 作者: 若桑みどり
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/03/19
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クアトロ・ラガッツィ 下 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)
- 作者: 若桑みどり
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そこで著者の出会ったのが、天正少年使節だったのだ。氏はここで彼らと自分とをだぶらせている。「彼らは描かれたばかりのミケランジェロの祭壇画を仰ぎ見、青年カラヴァッジョが歩いた町を歩いたのだ。ローマの輝く空の下にいた四人の少年のことを書くことは、まるで私の人生を書くような思いであった。」
こうして、日本とキリスト教の最初の出会いから、本書は始まる。細かい学問的なことは判らないが、まことに生き生きとした細部に満ちた歴史書だ。信長の光彩陸離たるイメージ、ヨーロッパにおける四人の少年たちの栄光、日本人に人気の高い秀吉の像の偶像破壊等々、とにかくおもしろい。
それだけに、最後は哀切だ。なにとはなく、著者の早世(といわざるをえまい)と重なって、かなしくなってくる。残念だ。