- 作者: カールヤスパース,Karl Jaspers,橋本文夫
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1998/08/01
- メディア: 単行本
- クリック: 9回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
「その意味で彼[=ヤスパース]は、ある特定の集団に属しているだけで自動的に罪があるとする『集団的罪=連帯責任Kollektivshuld』という考え方は、認めない態度を取った。これは一見、罪はナチスの最高幹部にだけあって一般国民は関係ないという言い訳のように思えるし、そう理解してしまう人も少なくないが、彼は決して一般国民には『罪がない』と言っているわけではない。『国民』という抽象的な集合体がまとまって罪を負っているかのような語り方をすれば、国民を構成する各個人がそれぞれ異なった仕方で、異なった重さで負っているはずの罪の具体的な中身がかえって曖昧なものになってしまう。各個人が、自分の罪について主体的に考えるべきだというのが、ヤスパースの議論の大前提である。」