- 作者: 隈研吾
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/11/20
- メディア: 新書
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この本は、建築家としての著者が、己の仕事とそのコンセプトを語ったものと言える。著者は、建築(いや文化さえも)としての二十世紀を一言でいうと、「コンクリートの世紀」だとする。そして、そこから脱却する必要を感じ、己なりに試みた成果をここで語っている。石、木、土、竹、和紙といった、忘れられつつある素材を、昔ながらの(それはそれで精度の高い)技術と新しい技術を組み合わせながら、「自然な」形で用いる建築――そんな風に纏められるだろうか。それにしても、(著者のいうとおり)写真では建築は伝わらないとはいいながら、写真で観る著者の設計した建築は魅力的なものが多く、とりわけ栃木県那須町の「石の美術館」などは、門外漢をして、実物を実見してみたいとすら思わしめた。
少し話はずれるが、ローカル線の車窓などから見る日本の田舎の風景の中に、大手住宅メーカーの新建材の家があると、なんともいえない気分になる。田舎の人だって都会風の家に住みたいのだろうし、それを咎めることなど誰にもできないだろうが、それこそなにか「不自然な」感じがすることは否めない。我々には、風景を見る、という慣習が欠如しているのだ。繰言ではあるが。
- 作者: 柄谷行人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/01/28
- メディア: 単行本
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