大森曹玄師の参禅入門

参禅入門 (講談社学術文庫)

参禅入門 (講談社学術文庫)

半可通が蛮勇を奮って云ってみれば、現代人が禅について知りたいときに、これは最良の案内書になると思う。坐り方の丁寧な指南から、坐中の注意、誤った道に入らないための心の持ち様など、実践的でありつつ、「禅とは何か」「悟りとは何か」といったような、簡単には答えることの難しい問題にも配慮してある。また、心底に慈悲を満たしておくことの必要性(これがないと魔境に陥ってしまう)といったような、仏教として最も重要な心得も、当然忘れられていない。必要なことをきびきび述べてゆく文章の上手さ、読みやすさも、いかにも見性を得た高僧のそれらしく、見事である。禅について変な本を読むより、この本の方がどれだけいいかわからないと思う。
 大森曹玄師は臨済宗の高僧で、剣や書の大家でもあった。山岡鉄舟に私淑し、山岡についての著作もある。
剣と禅 (禅ライブラリー)

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山岡鉄舟 (禅ライブラリー)

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