若桑みどりの描くフィレンツェ
- 作者: 若桑みどり
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/12
- メディア: 文庫
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もっと大きい歴史から考えると、ロレンツォ豪華王の死んだ一四九二年は、歴史の大きな転回点であった。グラナダの陥落。コロンブスの新大陸発見。これ以降の世界史は、ヨーロッパとその植民地争奪を軸として展開=転回する。フィレンツェは相対的にその地位を低下させ、強力な統一国家であるフランス、ドイツ、スペインが表に出てくるようになる。そのことをイタリアにおいて唯一理解していたのは誰か。それはマキャヴェッリだけだったろうと、著者はいうのだ。
もちろん、本書は美術史的な考察は本領である。その新鮮さも、本書の大きな魅力のひとつであると云えよう。