橋爪社会学入門

橋爪大三郎の社会学講義 (ちくま学芸文庫)

橋爪大三郎の社会学講義 (ちくま学芸文庫)

社会学入門も、大学と学問も、結婚も、宗教も、すべて明快だ。よく読まれている『はじめての構造主義 (講談社現代新書)』も明快だったが。それにしてもあまりにも明快すぎて、曖昧でモヤモヤしたものを切り捨ててしまっていないかと気になる。例えば、女性にとって出産が重荷になっていると指摘して、著者はこう言う。
「でも、動物に産ませれば、こういった問題は起こる心配がない。人工子宮でもいいんですけど、わざわざ人工のものを作ったりするより、家畜の子宮を利用したほうが技術的にはるかに簡単だと、私は十年くらい前に直感的に思ったんです」
豚などに代理出産させたらどうかというのである。こういうところに、著者の発想がよく現れているように思われる。