グールドとカラヤンの共演

1957年5月26日のライブ録音。
 期待は裏切られなかった。グールドとカラヤンの共演であるベートーヴェンは、堂々たる正攻法の名演。少し早目のテンポで、瑞々しい音楽を形づくっていく。なにしろ二人とも若い。カラヤンは49歳、グールドに至ってはまだ24歳であるが、今かれらほどの演奏家が一人でもいるだろうか。それにしても、グールドが演奏会を開かなくなってからも、二人の共演するレコードの企画は何度もあったらしいが、結局実現しなかったのは本当に残念だ。
 あと特筆すべきは、モノラルだが、音質もすばらしい。カラヤン率いるベルリン・フィルの美音がはっきりと堪能できる。定評のあるカラヤンシベリウスも、まことに美しく、感動的だ。
 ※グールドとカラヤンの共演はおそらく三回あり、これはその最初である。後の二回は共に、バッハの協奏曲第1番。グールドの詳しい演奏会記録やディスコグラフィは、以下の本にある。
グレン・グールドの生涯

グレン・グールドの生涯