谷崎潤一郎

少将滋幹の母 (新潮文庫)

少将滋幹の母 (新潮文庫)

優雅に語られる平安の風物がどこか懐しい。谷崎の筆力はさすがで、特に終りの方など、はっとさせられるところが幾つもある。色好みの平中が、侍従のおまるを強奪して中を見るエピソードは、『今昔物語』で読んでいたな。