中世を旅する人びと―ヨーロッパ庶民生活点描 (ちくま学芸文庫)
- 作者: 阿部謹也
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/07/09
- メディア: 文庫
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また、乞食やロマ人(ジプシー)の存在に対する/からの眼差し。キリスト教の浸透に伴って、施しのために乞食の存在が必要になったというのが面白い。中には、乞食を職業とした「したたかな乞食」というような者まで現れたという。一方、中世末期の社会不安の中で、ジプシーはヨーロッパ中で疎まれた。これが、あまり知られていないことであるが、二十世紀のナチスによる虐殺にまで続いていく。何故ジプシーは放浪するのか。ジプシー自身その答えを知らない。「さっさと立ち去ることによって、満されない願望に対する切なさがのこるから、それだけその土地の思い出を大事にすることができる。」本当だろうか。