高学歴兵士たちの憂鬱
- 作者: 高田里惠子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2008/07/01
- メディア: 新書
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こう書いてきてどうしても思い出してしまうのが、最近話題を呼んでいる赤木智弘の一文である。これについては、本書のあとがきから引用しておこう。
「ただ、本書を読みすすんでいただいた読者の皆さんには、『中学にも進んでいない』者たちのほうが当時は八割以上を占めていたこと、『希望は、戦争。』ではなく『希望は、陸軍。』もしくは『希望は、徴兵制。』と表現したほうが正確であること、しかし帝国陸軍もそう単純に平等世界ではなかったことが、すでに明らかであろう。」
一言呟いておけば、戦争について読めば読むほど、戦争はまっぴら御免だというのが偽らぬ感想である。大体不器用な者としては、真っ先に戦死しそうでかなわないのだ。要領よく立ち回って生き延びるならのびたで、戦死したものに対する申し訳なさとでもいうものに苦しめられるのは、分りきった話である。前大戦は、そういう人々を多く作りだしてきたのである。本書の意義は、そうしたことを明るみに出したところにもあるのだ。