星野智幸の『最後の吐息』

最後の吐息 (河出文庫)

最後の吐息 (河出文庫)

色彩。匂い。官能。狂気。こう並べてみると少し気恥ずかしいが、端整な句読点の切り方に救われている。確かにサイケデリックだ。が、いい頃の村上龍ほど、イメージの鮮烈と肉体性がないかも知れない。頭で作ったような感じ。
 「紅茶時代」の方は、冒頭以外、長所である句読点の切り方に端整さがない。イメージが拡散し、最後まで読めなかった。