- 作者: 濱野智史
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2008/10/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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また著者は、メディアを「同期」型と「非同期」型に分ける議論を導入し、ネット・メディアは「非同期」型だという。(「同期」というのは、電話やテレビなどのように、情報の発信と受信が同時に行われていることを指し、「非同期」というのは、本や手紙のように、それらがずれていることを指す。eメールなども「非同期」の典型である。)そこから、いま人々が求めているメディア・コミュニケーションは、「非同期」メディアをあたかも「同期」的に用いることだという結論が出てくる。(著者はさらに詳しく、ツイッターを「選択同期」、ニコニコ動画を「擬似同期」、セカンドライフを「真性同期」として区分している。)
個人的に「やっぱり」と思わされたのが、(本書で特に強調されているわけではないが、)2ちゃんねるもmixiもニコニコ動画もウィニーも、日本特有の文脈上にあるということだ。日本特殊論はなるべく避けたほうがよいのは承知しているが、ここに何かあるのは確かだと思う。「繋がりの社会性」という言葉は広く使われるようになったが、特に「日本」という文脈でいうと、もう少し微妙な綾(例えば「空気を読む」といったような奇妙さに関連のあること)があるような気がするが、どうであろうか。もしネット上に日本的感性というものがあるとすれば、すでに国境などないように見えるネット空間において、それらはこれからどうなっていくのだろう。まったく、ネットとは摩訶不思議なものだと、思わず嘆息したくなるほどである。