ゲーテ形態学論集・植物篇

ゲーテ形態学論集・植物篇 (ちくま学芸文庫)

ゲーテ形態学論集・植物篇 (ちくま学芸文庫)

木村直司による編訳で、素晴しい仕事である。むさぼるように読まされた。近年、忘れられていた筈のゲーテの自然科学における業績が再評価されているというが、科学的な側面だけではなく、想像力の領域におけるその意義も重要だと思う。つまり、アナロジーと科学という問題である。ゲーテの植物学においては、形態学、すなわちアナロジーによる方法が特徴的だからだ。例えば、ゲーテの植物の「螺旋的傾向」という発想は、澁澤龍彦も面白がったように、とてもアナロジカルであり、イマジナルである、というように。聞くところに拠れば、木村氏による動物篇も続刊されるというから、これは楽しみなことだ。『色彩論』とともに、ちくま学芸文庫らしい、貴重な仕事である。
色彩論 (ちくま学芸文庫)

色彩論 (ちくま学芸文庫)