第一章は、三次元空間に埋め込まれた二次元曲面についての、具体的な曲面の
微分幾何学。第二章は、
位相空間論。第三章は、以上を踏まえた、
多様体論。最初の章で、具体的にイメージしやすい二次元曲面について書かれてあるのがいい。第二章もそうした配慮で、
位相空間よりも
距離空間が先に書かれている。(コンパクト性は、まず
閉集合で記述してある。)
多様体論も実際の(面倒な)計算をかなり丁寧にやってあるので、そこらあたりは判りやすいが、
多様体論は
写像が入り乱れるので、もう少し図があるともっとよかったかも知れない。
ガウス‐ボンネの定理はさすがに簡単ではなく、きちんと計算してみないと自分もよく判らなかった。全体的に、記述は丁寧な方だと思う。
なお、
多様体論におけるリーマン
多様体の記述であるが、
テンソルの定義や計量の記法は数学者的なので、物理学における
一般相対性理論の教科書の多くとは異なっており、注意が必要かも知れない。