バカヤロー経済学

バカヤロー経済学 (晋遊舎新書 5)

バカヤロー経済学 (晋遊舎新書 5)

科学作家である竹内薫さんの新著で、今度は経済学である。本書は本当は竹内さんと、窃盗事件で社会的に抹殺された、高橋洋一氏との共著(対談形式)になる筈の本だった。この本自体には、高橋洋一という名は一切出てこない。事件の真相は判らないが、竹内さんなりの意見がブログ(参照)にある。この本でも相当に現役政治家や官僚を批判しているので、彼らからよく思われていなかったことは確実だが、陰謀であったのかは自分の判断できることではない。まあ、陰謀であってもちっとも驚きはしない。
 それは措いて、本書のコンスタティヴな側面を見ると、かなり高度の内容がクリアに書かれている点、自分のような経済学初心者にはありがたい。基本的には「地方分権と税源移譲」ということで、それに反対する、官僚の「バカヤロー」な感じを実に詳しく語っている。それから、変動相場制の下では、(金融政策で円安に誘導しない限り)公共事業はほとんど意味がない、というのは、本当なら衝撃である。そこのところを、もう少し丁寧に説明してあると、もっとよかった。日本の巨額の財政赤字の原因は、九十年代に効かない財政政策をやり続けたせいだ、というのも本当だろうか。「でも、これが政治家にはスゴく嬉しくて、何回やっても効果は無いから、何回でもやるの(笑)。」(p.128)