ポール・クルーグマン
経済政策を売り歩く人々―エコノミストのセンスとナンセンス (ちくま学芸文庫)
- 作者: ポールクルーグマン,Paul Krugman,伊藤隆敏,北村行伸,妹尾美起
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/03/10
- メディア: 文庫
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一番面白かったのは最終章で、ここでは著者も理論形成に加わった、新しい国際貿易理論が解説されている。ここの議論はかなり詳細なもので、とても簡単には要約できないのだが、結局、生産性に違いのある二国間が貿易を行うとき、どちらかが潰れるのではなく、双方の益になることが多い、とでも云えるだろうか。そしてまた、国際貿易よりも国内の経済活動の方が規模が大きく、重視すべきはそちらだという。
著者はどちらかといえば、「経済のグローバル化」という概念にあまり重きを置かないようだ。そうすると、今さかんに言われている「経済のグローバル化」批判は、著者はどう判断するのだろうか。
以上とはあまり関係がないのだが、素人たる自分の気になることを呟いておけば、日本などではもう物が満たされすぎて、消費されるものが減り、それによって経済が縮小して、慢性化した不況に陥る可能性があるのではないか、という気がしてならない。現在の不況はそうではないかも知れないが、将来は必ず、そういう日が来るのではないか。そうすると、それに対する手段というのは、本当に存在するのだろうか。まあそういう問題は、既に経済学の範疇にはないかも知れないが。
- 作者: ポールクルーグマン,Paul Krugman,山形浩生
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/04/08
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