「度し難いロマン派」のCDリサイタル

ことクラシック音楽に関しては、我ながら「度し難いロマン派」(G.グールド)だと思う。そのロマン派が室内楽好きだと、何が聴きたくなるであろうか。なんの前ぶれもなく、シューマンのヴァイオリン・ソナタ第1番にかつえる。

シューマン:ヴァイオリンソナタ第1番&第2番

シューマン:ヴァイオリンソナタ第1番&第2番

感情の不安定な起伏のある曲だが、それを見事に追った演奏。クレーメルのヴァイオリンがもう少し線が太いともっといいが、アルゲリッチのピアノとの絡み合いは素晴しい。
 そうなると次は、ヴァイオリン・ソナタというジャンルの至宝、フランクのイ長調ソナタを聴く。
サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番

サン=サーンス:ヴァイオリン・ソナタ第1番

フランクの曲は演奏者を選んでしまうところがあり、なかなか決定盤が生まれにくいが、この曲もそうだ。しかし、シャハムのこの演奏はベストに近い。それにしても、シャハムのヴァイオリンの何という美音だろう。
 もう一曲フランクが聴きたくなる。そこで、ピアノ五重奏曲を選ぶ。
ショーソン:コンセール/フランク:ピアノ五重奏曲

ショーソン:コンセール/フランク:ピアノ五重奏曲

リヒテルボロディンSQのCDもあるが、この曲はこの演奏だろう。ジュリアードSQの粘り気のある響きがフランクにぴったりだし、何よりボレットのピアノが凄い。第1楽章など、噎せ返るようなロマンティシズムだ。曲想は違うが、スクリャービンのピアノ・ソナタ第3番をなぜか思い出さないでもない。