過渡期としての八〇年代:吉本隆明と坂本龍一
- 作者: 吉本隆明,坂本龍一
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/08/10
- メディア: 文庫
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それにしても、この本の属する時代は、少し前にニューアカが流行ったり、色々な意味で大きな過渡期だった。(自分にとっては懐かしい時代である。)音楽的にもアナログ・シンセサイザーの時代で、オシレーターを使って音を一から創っていくという時にあたり、今のサンプリングした音を加工してつくるデジタル・シンセサイザーとはだいぶ違う。なんとなく文化全体が、デジタルの到来を夢みつつアナログでいく、というような雰囲気をもっていたと云えるかもしれない。ここではまだ辛うじて玄人が残っていたが、いまではデジタル化で、完全に素人の時代になった。(こうやってブログなぞを書いている自分なども、完全にそうである。)吉本も坂本もそれをよく理解しており、殆ど「データーベース消費」という概念が出てきそうなくらいだ。その吉本の態度を見て、柄谷行人が「吉本は高度消費社会に呑み込まれた」というようなことを言ったわけだが、吉本も柄谷も、基本的な認識では一致していない筈がないと思う。柄谷の道を選ぶと、これから辛いけれども。
- アーティスト: 坂本龍一
- 出版社/メーカー: ミディ
- 発売日: 1993/09/21
- メディア: CD
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