クワイン

クワイン―ホーリズムの哲学 (平凡社ライブラリー)

クワイン―ホーリズムの哲学 (平凡社ライブラリー)

現代思想冒険者たち」シリーズからの平凡社ライブラリー収録。本書の記述する限りのクワインを見ると、「ホーリズム」などというのは、デリダの「エクリチュール」に比べれば、神秘主義すれすれである。そもそも、知覚の対象を言語というピンで留めてゆく、というような貧しい言語観(特に論理実証主義の系統のそれ)から抜け出さない限り、言語哲学の深化はあり得ないだろう。クワインの認識論の浅薄は覆うべくもなく、例えば「刺激意味」などという不正確極まる土台の上に、ありもしない空中伽藍を組み立てていることからもそう云える。