自分も野球は好きだ。
プロ野球も好きだし、
高校野球も好きだ。年に一度は名古屋ドームにも行く。しかし、「観る」ばかりで、きっと著者には叱られてしまうであろう。著者にいわせれば、野球は「観る」ものではなく、実際に「やる」ものなのであり、そうであらねばならないのである。それが嵩じて、詩作と草野球でどうやって食っていこうかと思いながら、好きなことをやるということのために、長年勤めた会社まで辞めてしまうくらいなのだ。しかし、著者は偏屈ではない。素直としか言いようのないベースボールへの愛が、まわりの人たちに伝播して、紛れもない人生の深みを醸し出したこと、それが平易で格調の高い散文に拠って、ここに感動的な一書を生み出すことになった。自分の筆では、本書の素晴しさは到底伝えられないが、こういう人生もあるのだと、深く感銘したことだけ記しておく。