経済論は事実に基づいて、論理的に、というわけで本書
- 作者: 勝間和代,宮崎哲弥,飯田泰之
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/02/17
- メディア: 新書
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では、デフレからの脱却には、何が最も効果的か。結局それは、インフレ・ターゲット政策だという。そして、貨幣供給量を増やす。周知の通り、これはマスコミなどで評判が悪いのだが、マスコミが怖れるようなハイパー・インフレーションは、起きっこないらしい。
本書の素晴しいところは、論者の役割分担にもある。専門家の勝間、飯田は、(当り前のことだが)事実に基づいて、論理的かつシンプルに語っており、宮崎が、専門的な意見も咀嚼しつつ、高所から議論を引き締めている。だから、内容は相当高度だと思うが、一般人にも理解可能な本になった。本当に、(こういう言い方はあまりしたくないのだが)日本人の「必読書」と言ってもいいくらいのものになった。
それにしても痛感するのだが、経済学はいまや相当に進歩しているのであって、現在の状況に対しても、ある程度有効な処方箋が出せるほどになっているということである。そして、新聞の経済記者などは、驚くべきことに、(不勉強で)そういうことを知らないらしい。自分も、新聞などでは、印象論ばかりで、こうした論理的で事実に基づいた議論は、読んだことがなかった。しかし、素人でも、経済学の初歩の教科書くらいは、読んでおかなければならない時代なのかも知れない。