大塚英志の大学教授奮闘記

大学論──いかに教え、いかに学ぶか (講談社現代新書)

大学論──いかに教え、いかに学ぶか (講談社現代新書)

大学教授奮闘記を書くなんて、著者も変ったものだ、丸くなったものだと思わずにはいられない。学生が可愛くて仕方がないというか、それはセンチメンタルだとすら感じる。それでも、著者なりの卓見や、芸風の皮肉っぽさは相変らずだが。しかし、「エッセイ」と(著者らしく)わざわざ断ってある本書を読んでいると、著者の教育は学生側からすれば大変だろうが、結局のところ、著者に教わった生徒たちは幸運だったといえるだろう。だって、大塚英志に漫画家になるための特訓をしてもらえるのですよ。そして、「学ぶ」ということは、結局、自分で身につけていくしかないということでもあり、教師のすることも、そういう態度を覚えさせることしかない、ということも考えさせられるのである。そういう大学であり、そういう先生がいるのなら、大学で学ぶというのも悪くない、そう思わせる本になっている。