日本の大問題が面白いほど解ける本 シンプル・ロジカルに考える (光文社新書)
- 作者: 高橋洋一
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/05/18
- メディア: 新書
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著者は前書きで、判断の基準を「コスト・ベネフィット分析(cost-benefit analysis)」と「世界標準(global standard)」に置くと宣言している。ここで既に、素人は躓いてしまう。「コスト・ベネフィット分析」については、あの八ッ場ダムの例が挙げてあって、既に支払われた3400億円と追加投入する1200億円を合せた4600億円よりも、ダムを造ることによって得られる「便益」である6000億円の方が上回るから、これは工事を続けるべきである、という論法で、確かにそうかなあとも思われる。しかし、「便益」というのが誰に対するものなのか、というのがわからない。税金は皆が払わねばならないが、「便益」を享受するのは、一部の人に違いない。だから、どういう人が「便益」を享受するのかを、きちんと論じる必要があると思う。どういう例でも、そこが気になる。
また、「世界標準」だけれども、これもまあ、「世界」が正しくて日本が間違っているという発想があり、それは多くでそうなのかもしれない。しかし、「世界」は本当にうまくいっているのだろうか。それに、「世界標準」というのは、強者にやさしく弱者にきびしいという流れが確実にあると思われるのだが。「強者」は優れているのだから、栄えるのは当然で、「弱者」は劣っているから、搾取の対象になってもしかたがない、という発想である。もちろんそれに対して、「全体のパイ」を大きくすれば、「弱者」も相対的に利益を得るだろう、という意見があるのは承知しているが、凄まじい貧富の格差があるアメリカなどを見ていると、とてもそうだとは思えないのである。
わかったところが無いではない。円高やデフレや、日銀のまずい対応がいけないのは納得できる。また、民主党が未熟なことも、そのとおりだろう。しかし、民主党への政権交代は一種の「革命」である。最終的にうまくいくかはまだわからないが、有権者もこれまでの政治にほとほと嫌気がさしたから、政権交代を望んだのだろう。リスクを背負って決断したのだから、もうやるしかないのだと思っている。
以上、素人なりに考えてみましたが、頓珍漢なことを言っているでしょう。結局、専門家に頑張ってもらうしかないです。