坂本龍一と中沢新一に見る希望のありか

縄文聖地巡礼

縄文聖地巡礼

題名どおりの本ですが、二人はノスタルジーで縄文遺跡を見て廻っているわけではありません。では何かといっても、自分の力ではそれを正確に記述することはできませんので、簡単にいっておくと、近代的な、リニアな思考法だけでなく、非線形な思考法を導入するために、人間のポテンシャルを確認する旅、とでも云えるでしょうか。この「非線形的な思考」というのは本当に解くべき大問題ですが、また本当に難問でもあります。自分などはまだリニアな思考すら充分に得ていないことを考えると、贋物ぶりに嫌になりそうですが、そんなことを言っていても仕方ありません。ささやかながら、出来ることを何か見出したいとは思う。ただこの二、三年で、状況はかなり悪くなっているようにも感じます。本書にたくさん鏤められている希望の種子が、なるだけ多く芽吹くとよいのですが。