- 作者: エミリーディキンソン,亀井俊介
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1998/11/16
- メディア: 文庫
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There's a certain Slant of light,
Winter Afternoons―
That oppresses, like the Heft
Of Cathedral Tunes―
Heavenly Hurt, it gives us―
We can find no scar,
But internal difference,
Where the Meanings, are―
None may teach it―Any―
'Tis the Seal Despair―
An imperial affliction
Sent us of the Air―
When it comes, the Landscape listens―
Shadows―hold their breath―
When it goes, 'tis like the Distance
On the look of Death―
対訳も少し変えて引いておきます。
斜めに射し込む光がある、
冬の日の午後―
大聖堂の調べの重みのように、
それは人の心を圧する―
それは 天上の痛みを与える―
傷跡は見つからない、
ただ 心のなかに変化が生じ、
そこに 意味がある―
誰もそれを教えられない―これっぽっちも―
それは「絶望」の印形―
空から送られてきた
荘厳な苦悩だ―
それが来たるとき、風景は耳を欹てる―
物影は―息を凝らす―
それが去るときは、遥かな距離のようだ
「死」の表情の上の―
詩人は、冬の午後をこう歌うのです。
詩人が生涯に残した詩は1700篇を超え、本書に収められた50篇にしても様々なものがあり、おおよそ精神の強靭さと柔軟さを示すのは同じですが、上に挙げたような厳しいものばかりでなく、軽妙さやユーモアを湛えたものにも事欠きません。今やディキンソンは、アメリカ最大の詩人のひとりとして認められているというのは、当然のことではあるでしょう。しかしまったく、大詩人というのはどこに現れるかわからないものだ、と言わなければならないでしょうね。