ミヤザワケンジにタメを張る高橋源一郎

これ、大傑作すぎて、形容の言葉がない。宮沢賢治の詩や童話から題を借りた連作短編集で(原作とは辛うじて関係なくもない、という感じ)、泣けるし、笑えるし、恐怖できるし、感嘆できるが、このとんでもなく多様な短編の集積が作りだす濃縮された文学の毒は、高橋源一郎にしか醸し出すことができない類のものだ。確かに鋭く現代を風刺、優れたパロディ、シャレてる、なんていうのも幾らかあるが、それだけのケチなものではなく、永遠にも通じている。あのミヤザワケンジにも、おさおさ劣らない、凄い出来なのだ。読んで文学の衝撃を受けよ!