古書店と文学――関口良雄『昔日の客』

昔日の客

昔日の客

著者は古書店山王書房の店主で、昭和五十八年に五十九歳で亡くなった。本書はその遺稿集で、入手困難になっていたものを、このたび夏葉社が復刊したものである。帯に「古本と文学を愛するすべての人へ」とあるのが、まさしくその通りだと云いたい。作家や客たちとの交流がしみじみと描かれていて、常套句だが、素晴しい本で感動したと書いておこう。思わず目頭が熱くなるような文章があちらこちらにある。本と文学を愛する人たちの、いとおしいまでの世界がここに広がっている。