- 作者: 山田稔
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1999/11/01
- メディア: 文庫
- クリック: 19回
- この商品を含むブログ (18件) を見る
京都を中心とした文章群なので、個人的に懐しさもあった。文学、同人誌、語学、それらを巡る人々。こういうことはあまり思わないのだが、「うらやましいな」という感じを抱かないでもない。自分が京都で出会った人々も悪くなかったけれど、なんというか、時代がちがうと感じないわけにはいかない。自分の学生時代は、バブルの余熱がまだ残っている頃だった。
まあそんなことはそれとして、本書の文章は、言うまでもないが素晴しい散文であり、技術的にもじつに上手いのだが、さらりとしていて技巧が見えない。さりげない木彫りの彫刻のような芸術品である。