- 作者: J.L.ボルヘス,鼓直
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/06/17
- メディア: 文庫
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また、第四章の「言葉の調べと翻訳」は、独特の翻訳観がきわめて興味深い。ボルヘスの論述を暴力的に要約してしまえば、逐語訳というのは誤訳であるが、それだからこそ新しさと美が宿ることがある、ということである。例えば有名なフィッツジェラルドによるオマル・ハイヤームの翻訳は、英詩なら許されない表現が、翻訳ということで許されたために、新たな美を獲得した、というわけだ。なるほどと思わざるを得ないではないか。