- 作者: 福田和也
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/06/01
- メディア: 単行本
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特に、濫読家の自分としては、氏の書評、書物関係の文章が好きだ。文学の読み方というものをいつも教えてくれる、得がたい人である。この本でも、いま話題になっている作家の読みなど、まったくおもしろかった。例えば綿矢りさの評価など、『蹴りたい背中』はその才能をほとんど絶賛しているが、『夢を与える』の出来は疑問符つきである。どうやら芥川賞受賞後に河出書房新社が「抱えて」しまったらしく、筆力の衰えがみられるというのだ。また、氏の高く評価する村上春樹だが、『アフターダーク』は肩透かしをくらったとか。(自分の感想もまったくその通りだった。)
それ以外、政治や経済などの本についても、ぶれない評価と博識で、まさしく「役に立つ」ほどである。全体を通していえることだが、なによりここで紹介された本が、実際に読んでみたくなってくるのが素晴しい。これこそ、批評家の一番の美質だと思うのだ。
- 作者: 綿矢りさ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2003/08/26
- メディア: 単行本
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- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/16
- メディア: ペーパーバック
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